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着陸航路の真下にて。(2) 

 リハビリ室でもよく待ち合わせた。二人とも足の痛みに顔をゆがめていたが、無駄口もまた楽し、である。
 彼女は実年齢より幼く見える、ピンク色のフェミニンなパジャマをいつも着ていた。「どーお?調子。」と、たずねた私に、『うーん…ちょっと…これ以上は…イタタ。』砂袋を巻いた足を懸命に上げつつ、彼女がそう答えた、その時。
 大きく開いた襟元から、汗ばんだ胸元が見えた。意外に張った乳房の先に、黒い影がよぎる。しまった、と思った。胸の高まりに、後ろめたいものを感じた。こんなにがんばってる女性に失礼だろう。そう思って目をそらし続けた。それから後は何を話したか、さっぱり記憶にない。
 …その後も相変わらず、のんびりした関係は続いたが、あるときとうとう、彼女に「恋人はおるん?」と尋ねてしまった。彼女はしばらく間を置くと、目をそらしたまま『…いてるよ。』と答えた。こうして、よく解らない恋は終わった。
 退院した後、彼女とは一度きりデートした。見栄を張って、行ったことも無いような高級ラウンジでカクテルを飲んだのも、楽しい思い出だ。だが、二人のあいだが、それ以上のものになる事はなかった。
 今、手元には、何通かの彼女からの手紙が残っている。そして私は考える。彼女はなぜ、"あの問い"に、すぐ答えなかったのだろう。そういえば、長い入院生活で、彼女に恋人らしい人物が面会に訪れたことは、一度も無かったのだ。あの間には確かに意味を感じた。もしかしたら?
 だが、もう終わったことだ。彼女はきっと、自分の道を邁進しているのだろう。あの言葉に意味があったとしても、なんになろう。あのときの私は幼く、それに気が付くことはなかったのだから。
 彼女が今も、輝いておりますよう。

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着陸航路の真下にて。 

 二十代のはじめ、とんでもないバイク事故をやらかして、運ばれた先が阪神高速空港線脇、H病院であった。

 中川京子(仮名)さんは、私より四つばかり上の社会人。身長は150cm 無い位で、眼鏡の似合う、高木美保に似た感じの可愛い人だった。空港で仕事中、カーゴが崩れて、すねの骨を折ったのだった。…カーゴ?仕事中?そう、彼女は全日空貨物のバイトをしているのだ。
 「何でそんなところで。」
 要するに、彼女は本当はフライトアテンダント、つまりスチュワーデスになりたかったのだが、身長が足りず、貨物部門でのバイトを始めたのだった。彼女は「空」が好きな人だった。
 『勿論、こんなところで終わるつもりはない。』彼女は歩けなくなったのを幸い、ここぞとばかり、機体整備士の試験問題集を熟読していた。やりたいこと(ベスト)があって、それが駄目なら次(ベター)を目指す。なかなかに合理的かつ前向きな人なのだ。なんとも魅力的な人だった。
 こんな風に惹かれていった私は、彼女の病室に、時々顔を出すようになっていった。彼女には速攻あだ名が付いた。イメージ的にもこれしかない、"キョンキョン"である。
 そんなある日、彼女の枕もとのラジオが、なんだか変わった形をしているのに気が付いた。「なんですか?それ。」『フフン。これね、あらゆる無線が聴けるラジオ。』「え?どーゆーこと?」『ん~…。』彼女は、バンドダイヤルをくりくりとつつき始めた。
 …ジャワジャワした、がなり声のようなものが聞こえてきた。『ほら、これ、警察無線。』「えー!」『タクシーもトラックも消防も聴けるよ。』「ナ、何でこんなもン持っとるんですか。」『そりゃあ…。』また彼女はくりくり始めた。聴き取りにくい、英語らしきものが聞こえてきた。『…もうすぐオランダ航空が降りてくるよ。』
 はたして。ものの数分で、雨の中を翼端から霧を作り、中型機が下りてきた。KLMと尾翼に描かれている。「すごい!Kyon²すごい!」それはまるで、魔法使いの予言のようだった。『フフン。』
 こうしてますます彼女に惹かれた私は、前にも増して彼女の部屋にお邪魔した。別に何も用はないが、ただ会話してぼんやりした。そのたびに、彼女はラジオの解説をした。『今日はね、風の関係で反対側から着陸するよ。』『昨日の晩、夜遅くまで着陸機がおったやろ?成田にトラブルがあって、こっちに回されたんよ。』
 私はいつしか、彼女に恋人がいるかどうか、確かめたい欲望が膨らんでいることに気が付いていた。
   (続く)


 

 

(遅れましたが)福知山線事故に思うこと。 

 あの日。
 ありえないものを見た、一年前のあの日。
 捻じ曲がった車両、地下深く刺さった車体。群がる人々。
 ある社長は部下に救助を命じた。近所の人々はバールを手に手に駆けつけた。またある人は氷が必要になるだろうと直感した。みんな言う『阪神淡路大震災の経験があった』と。
 ある人は救急車が間に合わないと思い、トラックを廻した。現場で医師はトリアージタグを実行した。直ちに広域救急体制が取られ、各地からやってきた救急車は、効率よく搬送開始した。みんな言う『阪神淡路大震災の経験があった』と。
 …ある研究によれば、この大惨事で、助かった人々以外に、救えなかった命は無いと言われている。つまり、救けられる命は全て救けられたということだ。これはすごいことではないか。
 今の救急システム、医療、マンパワー、全てベストの救助劇だった。それが真実だ。そしてそれを可能にさせたのが「阪神淡路大震災」に培ったスキルであった。
 …しかし、この話を聞くたびに、経験を生かした人々の素晴らしさとともに、またしても凄惨な現場で、スキルアップをする羽目になってしまったことへの無常さに胸をつぶされる。
 本当は皆平和に過ごしていきたいのだ。最悪のことを想定し、それに対する準備を怠らない。大事なことだが、それを"実戦"で培うのは不本意というものではないか。
 あの事故の後、救助にあたった多くの人が葛藤し、自らを責めた。『もっと救える命があったのではないか?』。目の前で人が死んでいくのを、見守ることしか出来なかった人々の心の傷に、我々に何のかけるべき言葉があると言うのか。
 もうこんな悲惨な事故は起こしてはならない。悲しみで経験値を上げるような、そんなことを許してはならない。

「結婚契約破棄宣言」を観た。…って身内やし! 

 岡村、岡林の、まだまだ新人と言える二人を主役に抜擢しての春の公演。結婚という制度を通して、男と女、夫婦生活、社会にいたるまで矛盾をあぶりだしていきます。過激なセリフや、テーマを内包しつつ、喜劇の体裁をとることによって、飽きさせない工夫も。
 物語の内容上、法律をそのまま暗記せねばならず、せりふを覚えるのに苦労があったようです。主役の二人はまだセリフに引きずられていて、人が喋る言葉としての台詞回しができてなかったかな。セリフって、朗読ではなくて、「間でかもし出していくテンポ」が重要だから。また、セリフに気を取られて、身体の演技がおろそかになってしまったのも気になったところ。指先まで人をひきつけるようになるまでは、もう少し経験が必要でしょう。ただ、思ったより無難に仕上げていたのは、たいしたものです。新人でここまでできたら上等とも言えます。
 一番舞台に上がっていたのは、主役の友人役、刈谷。演技の感は良いんだけど、やっぱり「サ行」の息が抜けるのが気になる。味があるとも思えるんだが…。
 久々の復帰、やくざ役の下尾さんはキレのある演技で魅了してくれたし、そのほかのベテランたちも、安定した演技で楽しめました。全般、いい公演になったなと思います。
 現在、新人がいい感じで育っているし、次回あたり、また大作に挑戦してもらいたい気がします。

   北野ひろし 作
   帆足寿夫  演出
   出演 今城由香理
      谷山圭一郎
      松田昭彦
      帆足由美 他

無事千秋楽。 

 ばらしが終わって、打ち上げから帰ってまいりました。今回の出し物はどうだったでしょう?ご意見お待ちしております。今日はもう疲れたので、パトります。(『パトラッシュ、僕もう疲れたんだ。なんだかとっても眠いんだ。』という状態。)

「運命じゃない人」を観た。 

 同じ時系列を、登場人物それぞれの視点から描き、パズルのピースを埋めるように物語を完成させる。アイデア自体は時々目にするものの、抜群に練りこまれた脚本が快感の一本。
 これは画期的なのですが、主人公は見事なまでになーんにもしません。ひたすら「いいひと」を貫きます。周りの人々がそんな彼を「事件」に巻き込まぬよう苦労する様は、笑っちゃうやら切ないやら。
 最後は「いいひと」のオーラが発揮されたかのように、みな収まるところに収まって…。と、楽しくなること間違いなし、幾つもの賞を取ったのは伊達じゃない。
 …ただね、ちょっと心配してしまう。初っ端にこんな完成度の高い作品作ってしまったら、次回作にものすごいプレッシャーがかかってしまうんじゃない?このまま潰れたりするのだけは、勘弁。

   監督
   脚本 内田 けんじ
   出演 中村 靖日
      山中 聡
      霧島 れいか
      山下 規介
      板谷 由夏

期待の女優、岡林です。 

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さて、そんな訳で。 

 演劇センター'90の47回公演が4月20~23日に行われます。20~22日は午後7時より、23日のみ午後1時開演です。場所は高知市洞ヶ島町薫的神社。
 出し物は「結婚契約破棄宣言」、コメディーです。それでは、ここで主役の岡林智子さんのインタビューを。
 初の主役おめでとうございます
 『もう、言わんとってくださいよ、もうすっごいプレッシャーながです。』
 まあまあ、みんな必ず通る道だから。なんか決意みたいなことをひと言
 『つたない演技で自信はありませんが、精一杯がんばりますのでヨロシク。あと、私が間違えたら、それは松田さん(古参の劇団員)が嘘を教えたからです!』
 ヒロインになったら花輪を送る、と言っておったので、いきなりの抜擢にびびりました。
 『くださいよ花輪。…って、いいです、返ってプレッシャーが酷くなりそう。』
 …とりあえず助かりました。劇は是非がんばってください。 
 演出は帆足寿夫。入場料は1500円(前売り1300円)、皆様是非お越しください。

 

私が首突っ込んでる、演劇センター’90の新出し物。 

 年に二回の公演が木曜からあります。そんなわけで明日の日曜は、舞台の仕込みです。また筋肉痛だ。
 なお、次回主演女優インタビューや舞台のからくり等、スタッフのみ知りうる裏話を詳細レポート予定。お楽しみに。(どうでもいい?)
 あ、イカン、明日選挙だ。朝イチで行かんと。あ、さらにツタヤ半額デーだ。行かないと。こりゃ忙しい。

「フライ、ダディー、フライ」を観た。 

 いくつかツッ込みたいが、それはさておき、なかなか意欲作です。
 突っ込みたいのは最初の白黒のパート部分。演出意図はわかるものの、ちょっと長すぎる気がします。ここを短くすればいろんな所に演出付けられたんじゃないかと。
 あと、ラスボスの須藤元気がちょっと弱すぎるんじゃないかなあ…。あのあと『ざけんな、コラ』とか言って復活して、それを岡田君が瞬殺、なんてベタな方がスカッとしたのに。
 でも、まあ、そんなんどーでも良いです。面白かったのだから。

   原作・脚本
      金城 一紀
   監督 成島 出
   出演 岡田 純一
      提 真一
      須藤 元気
      

訃報。 

 「父と暮らせば」の黒木和雄監督がお亡くなりになった。お幾つだったか確かめてないが、まだ70代だったと思う。せめてもうちょっと、と思われた方も多いだろう。
 ここを読んでいる人なら知っていると思うが、私は前年度トホホに「父と暮らせば」を入れている。入れといて何を、と思われるかもしれないが、この映画は良い映画である。
 勿論、今更意見を曲げることはしない。いい映画だから、自分にとってナイスとは限らない。この作品はどうしても違和感がぬぐいきれず、私個人の評価を下げたが、他の多くの人には評価は高いらしい。そういうことだ。
 あなたはどう思うだろう。興味のある人は、是非レンタルショップにでも行ってみて下さい。そして自分なりの感想をお持ちになって欲しいと思ってます。
 黒木監督は、最後まで新作映画にかかわっていたそうです。合掌。

変更! 

 ちょっと古すぎかなと思って入れなかった「モスラ・ゴジラ・メカゴジラ」なんですけど、やっぱりトホホに入れときます。それと、話題作でなかったのであえて入れなかった「小鳩の会の日本史(だったと思う)」というのを入れときます。
 モスゴジメカゴについては以前言った通り。「小鳩…」に関しては、何てことない作品なのでスルーしようかと思ったんですが、やっぱり駄目。あまりに出来が悪く、気分が悪くなってしまったくらいなので、入れずにおけない。できの悪い脚本の悪ふざけ、気持ち悪い演出、下手な役者早く忘れたい。
 順位は変更して、
 5位 父と暮らせば
 4位 赤目四十八瀧心中未遂
 3位 モスラXゴジラXメカゴジラ
 2位 小鳩の会の日本史
 1位 スウィングガールズ
 と、変更させていただきます。
後、言っておきたいのは、ここに書かない、ものすごいトホホはいくらでもあった、ということ。ネットドラマとか、作品としてなってないものが多かったし、でもものすごい量だからあえて条件をつけて区切ってるだけです。早く忘れよう。

「東京タワー」のこと。 

 リリーフランキー氏著作、「東京タワー」が、"本屋の店員が選ぶ読んでもらいたい本"の一位になったそうだ。これは、嬉しい。
 去年読んでから、他人にも「いいよー」と薦めてきた。大まかな内容そのものは、そう目新しいというわけではないが、出てくる登場人物が、"自分"も含めて極めて人間的で、それを綴る語り口も、朴訥とした感じがとても印象的なのである。
 基本的には「オカン」の思い出を語る「ボク」の半生記なのだけれど、さりげなく医療問題、葬祭業や行政に対する怒り、といった問題提起がなされていて、考えさせられたことも多い。
 だが、なんといっても「オカン」の「愛するものに対する、あまりに大きな無償の愛」これこそがこの物語の要であり、多くの人を泣かせたものだ。
 いったい、人はどれくらい自分を捨てて、他人を愛することができるのだろう。古くから問い続けられるこの問いに、作者は「オカン」を通じて真正面から答えてくれた。くだらない"主人公が生き別れになる"小説なんか読んでる暇があったら、こちらを読めとお勧めする。
 

追っかけ。 

 長いことウルフルズのライブのおっかけ(といっても四国近隣のみだけど)をやってきたけど、最近パワー不足です。やはり、子供にパワーを取られているのが大きい。それについての不満はないものの、とにかく出かけにくくなったのは間違いない。
 ウルフルズのライブレポを探して知ったんだけど、高知の人で、自分の行ったいろんなアーティストのライブレポを、詳細にホームページに載せてる人がいるのよ。それがもう、感心してしまう出来の良さで。
 積極的にいろいろなことをやって、ホームページにアップして。状況も行動力も感心してしまう。こういう人と話が出来れば、なんぼか楽しそうですな。
 そんなヨタ話はともかく、今年は松山と須崎のライブに突撃です。これが限界。俺、ガンバ。

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